トーマス・マン「魔の山」より

「......そこには父の名もあれば、祖父自身の名も、曽祖父の名もあった。この「曽/ウル」という接頭語が、祖父の口の中で二つになり三つになり四つになると、孫の少年は頭を横にかしげ、瞑想するような、あるいはぼんやり夢想するような眼つきで、口をつつま…

トーマス・マン 「魔の山」 より

「...... ふつうには時間だけが持っていると考えられている力を、われわれ人間とその故郷との間に旋回し疾走しながら拡がっていく空間が示すようになる。つまり、空間も時々刻々に心的変化を生みだすのだ。そしてその変化は、時間によって生ずる変化によく似…

世界の果てのような静けさ

蝉が鳴いている。 乾燥機がまわっている。 時計の針が刻んでいる。 聴こえる。 季節のめぐりは、やまない。 都心にいても、時の経過はおもむろに、ささやかに、顔を出す。 人がそれに目を向けても、向けなくとも。 野生のヒグマの写真が、すぐそこの壁にかか…

ボナベントゥラ / Bonaventura

Drei Dinge „Wegen dieser drei Dinge hat Gott die vernünftige Seele geschaffen: dass sie ihn lobe, dass sie ihm diene, dass sie an ihm sich erfreue und in ihm ruhe; und das geschieht durch die Liebe, denn wer in der Liebe bleibt, der bleibt…

マタイによる福音

(そのとき、イエスは言われた。)「疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。わたしは柔和で謙遜な者だから、わたしの軛を負い、わたしに学びなさい。そうすれば、あなたがたは安らぎを得られる。わたしの軛は負いや…

heutiges Gebet 今日の祈り

Das Herz „Wenn wir Psalmen singen, dann soll unser Herz mit dem gesungenen Wort zusammenklingen.“ „Keiner soll nach dem eigenen Nutzen streben, vielmehr soll jeder auf das bedacht sein, was für den andern gut ist.“ (Aus der Regel des hl. B…

ある感覚

小さい頃によく感じていた、ひとつの感覚について、書いてみようと思う。 それは岩手の家にいた頃、寝室で、寝る前に感じていたものだ。 毎日、毎回、とまではいかないけれど、その、おんなじ感覚は何度もあったと思う。 寝室には、白い、明るい電気と、小さ…

人間の生と時間

私は何を求めているのか? 私たちは何を求めているのか。 生きるとは何か、という問いかけは、あらゆる方面から、そして昔から、問われ続けてきている。 そう問うことができるのは、まず前提として、生きるという私たちの営みには、固定化された枠やルートが…

旅 ~網走・知床~ 3.

3日目 (最終日) 午後一番頃のバスで空港に戻るまでのあいだ、網走市内を歩きました 網走、知床、予想していたよりも寒くなく、むしろ歩いていると暑いくらいでした。 快晴で、気持ちいい ホテルのチェックアウトを済ませ、まず、荷物をコインロッカーに預け…

旅 ~網走・知床~ 2.

2日目 早朝、網走から知床斜里まで、JR なぜ早朝かというと、これを逃すと次がしばらくないからです この区間は、一日数本です 小さい頃に、バレエに通うために岩手で使っていた田舎の駅を思い出す 朝日 朝は、清々しいものですね フレッシュ バスは、ガラ…

旅 ~網走・知床 ~ 1.

旅の記録 行き先は、北海道、網走。 これは自分で決めたわけでなく、「旅クジ」というくじが決めた行き先。(女満別) 飛行機でどこかへ行くのも3年と少しぶり。 記録的に、残しておいてみようとの思いつきです。 さて、成田までは、東京駅からバスで。 天気…

純粋な存在と、そこへのかかわり

何かをする のでなくて、何かをしない のでもない。 良い でもなくて、悪い でもない。 ただ、居る ということ。居る と 居るが隣り合うと、掛け合わさるのだから、居る よりも複雑になるけれど、多様にもなり、豊かにもなる。 居る と居る と居る ならなお…

純粋な流れ

「スパン」というものについて、考えていた。時の流れのスパン、について。 たとえば、「5年間」という長さがある。19〜24歳までのそれと、76〜81歳までのそれとは、どちらもそれぞれに同じ長さであり、重たさを持っても、どこか、何かが、同じであるとはい…

意味 について

しばしば、「生きているだけで偉い」という言葉を聞くことがある。それは、生を営んでいるというそのこと自体に対する肯定または慰めのようなものであろう。何故なら、日々の、基本的には「繰り返し」の多い単調な流れのなかを歩んでいくことは、そう簡単で…

gentle boy

We were in an old style house like grandma’s. It was probably daytime and we were eating the meal. Next to me was a little boy around 2 years old and I helped him to eat. Because if he eat rice first he gonna be sleepy soon, so I picked up…

秋の気配

今日は、9月1日、火曜日。月が変わった。 毎日は、着々と、黙々と、連続しているようだけれども、やっぱり「月が変わる」ということは、ひとつの意味をなす。 暦の上のことだけでなく、気持ちとして、意味をなす。カレンダーの写真も変わる。 日本や世界の風…

今日のつぶやき(2020.6.ある日)

人を動かすものは、先の時間にたいしてもつ期待、希望である。 精神的なもの、内面的なものは、物体的、肉的なものへと作用する、と感じることもでき、また、信じることもできる。

夢をみた。 夢での出来事は、印象に残ることがある。 昨晩は、気分的には下降気味だった。 夢を介して、朝起きたら、少し回復していた。 夢はいつも奇妙だけど、今回も奇妙だった。 いつくかの場面が断片的に切り替わっていった。 ————— わたしはプールにい…

頭の中の檻と ほんとうの自由

思考の可能性。 人間は生きて、思考している。 それぞれからだを持ち、脳をひとつ持っている。 思考は、閉ざされているようで、ふと開かれたり、ほどかれたり、混ざり合ったりする。 感じる。かんがえることでは突破できないことは、感じられる。 感じること…

春の気配

雨の最初の一滴が わたしの耳を濡らす 辺り全体 しっとりしめって 春だ 二滴目はわたしの鼻先を濡らす 三滴 四滴 百滴 千滴 たくさんの雨粒が わたしの背から尾までをしめしめ しめと 濡らす 自分が春の雨の畦道に立ち尽くす 消し炭色の犬で あることが わた…